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Nutube HPアンプ2号 その2:実装と聴感 [パパの趣味]


昨日は完成機の回路と特性を紹介しました。今回は実装状態をご紹介します:

④外観
ゴムケースをかぶせた状態です。横に2つ並んだ穴から緑色の光が漏れているのが分かるでしょうか?
これはNutube内部の蛍光体が発する光で、パイロットアンプも兼ねてケースに穴を明けて作動中であることが分かるようになっています。
全体s.jpg
穴の上のスライドSWが電源スイッチです。ゴムカバーを外すと電池を交換することができます。
単4x4本s.jpg
このタカチのケースは電池ボックスを備えており、オプションのゴムカバーも各種(色、デザイン)用意されておりとても便利です。強いて希望を言うなら、シールド能力を持たせてくれると大変ありがたいのですが。
⑤内部
基板アップ1s.jpg
基板は2枚から成ります。写真で下にあるのがNutubeを抱え、2mm→2.54ピッチ変換もする基板(青色)、上に見える黄色いメイン基板はサンハヤトのユニバーサル基板を切って使っています。Nutube基板はゴムブッシュでフローティングさせて少しでも衝撃を遮断しようとしています。またフィラメント点灯用のCRD(定格18mA)と10μF積層セラミックもこちらの基板に実装しました。
メイン基板の方にはいろいろな部品が載っています。左上の黒い立方体がDCDC, 下に2つ並んでいる青い多回転ポテンショがバイアス調整です。 基板真ん中あたりにあるのがNutube駆動用のOPアンプ(LME49860), その右にあるのがOPA1622でこのOPアンプはとても小さい表面実装素子で、秋月の変換キットを使ってDIP8ピンのソケットに挿しています。小さいだけに発熱すると放熱させるのが大変で、回路ごと作り直してしまえ、となった訳です。
その上にあるのがコントロール系で、左から出力の6.3mmステレオジャック、2連VR, 入力用3.5mmステレオジャックです。入力は、スペースもないので3.5mm一本に割り切ってしまいました。必要でしたら外部に3.5mm - RCAの変換ケーブルを使います。
⑥聴感
一言でいうと「柔らかく、太い音」に尽きます。第一作に比べ0.2dB程度、低域のゲインが伸びているためでしょうか。聞き始めると、「いつまでも聞いていたい」感じです。ただ、PCの前など電磁的にノイジーな環境で使うと、乗ってしまうようです。HPアンプの向きを変えたり、HPケーブルをPCから遠ざけたりしてしのいでいます。全体に磁気シールド塗料をかけてしまおうかとも考えていますが、新品の塗料は高いですね。うまい手はないか、継続してリサーチしたいと思います。
ノイズについては金属ケースに収めた3A5 HPアンプが一番優秀です。
⑦製作費
完成機に組み込まれている部品代で11,864円(税込み)しました。実は回路検討中に6P1のフィラメントに電池電圧を直にかけてしまい、Nutubeをひとつダメにしています(+5,400円)。今回はフィラメントが赤熱しただけで切れなかったのですが、特性がおかしくなってしまいました。おかげで私は方チャンネルだけ作動するNutubeを二つ保有しています。トホホ。

終わりに
第一作、第二作とNutubeを使ったHPアンプを製作し、第二作目でやっと満足できるものを作ることができました。このご時世に真空管を研究開発したKorg社に敬意を表し、組み込んだ6P1の二倍の、4個も購入してしまいました。使ってみると、
・こんなシンプルな構造でも増幅作用をするんだ! という驚き。
・一方、特性としてはポジティブバイアスで使用しμAレベルながらグリッド電流を流して使う特性であるところが真空管アンプファンとしては(大したキャリアではありませんが)抵抗あるところです。
・またプレート電流もμAクラスなので直接HPを駆動できず、別の電力増幅段を設ける必要があり、結局この電力増幅段をどの素子にするかが第一作と第二作の差になってしまいました。駆動能力の高いOPA1622を使ったことで6P1の味をHPに送り込めるようになった、と理解することもできるでしょうが、音色が6P1とOPA1622いずれのお陰か、因果関係を明らかにするのは難しいと思います。

6P1を使った工作はいったん終結とし、グリッド電流の流れない特性のものが出るようならばまた取り組みたいと思います。ではまた。

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Nutube 6P1ヘッドフォンアンプ2号完成! その1: 回路と特性 [パパの趣味]


KORG社の新型真空管6P1を使ったヘッドフォン(HP)アンプの第2号になります。
発端は第一号を作り、ヘッドフォン駆動用のOPアンプ(ユニティゲインで作動)をとっかえひっかえ試している中で、TI社のOPA1622の音が良かったことによります。OPA1622は音響用に開発されていて、32Ωの負荷に対する特性が保証されています。
第一号はOPアンプを+/-15Vの電源で作動させることを前提にしていて、ここにOPA1622を挿すとやたら熱くなり、小型の放熱板を専用の両面テープでくっつけてみましたが、テープがとろけそうな勢いでした。別のアプローチとして、全体にHAYAアンプタイプにしてOPアンプを+15V単電源で動作させると発熱は半分になりそうですが、出力に大型の電解コンが必要になります。信号経路に電解コンを使うのは避けたかったのです(ホビーなので、この辺はポリシー次第です)。
というわけで完成させたのが添付の回路です:
回路図.jpg
ミソは単4x4本の電池ホルダの中間端子から0V点を取り出してOPアンプは+/-2.4Vで作動させていること、一方で6P1のプレート電圧はDCDCで15Vに昇圧して使っていて、こちらは電池ホルダの両端から電位差4.8Vで作動させます。DCDCに絶縁型を使うのがポイントで、DCDCのCOM出力を前述の0Vに接続すると全体につじつまが合います。
さらなるポイントとして、電源スイッチは+2.4V, -2.4Vの両方を同時にON/OFFする2回路のスライドスイッチを使いました。両方切らないと電力消費してしまうことはさらに前に作った3A5 HPアンプで経験済です!!
前モデルは単3x4を収容するタカチLM-140を使ったのですが、今回はゴムカバー付きにしてマイクロフォニックを軽減したく、一回り小さいLC-135にしました。これにヘビーデューティー(HD)タイプのLCTP-135Gを組み合わせると大変効果的です。標準タイプのLCSC135だとまだ、叩くと「カーン」と聞こえます。HDタイプがおすすめです。単4でも実用的に持続させるため、DCDCも特に小出力タイプ(250mW)を選択しました。この回路で、消費電流は60mAです。750mAhの単4で10時間くらいは持つのでは、と期待しています(未検証)。
もう1点だけ、6P1の問題について書かせてください。プレート抵抗がL=70k, R=62kと異なっています。初めは両方68kにしたのですが左右のゲイン差があり、プレート抵抗で調整しました。左右とも68kの時のゲイン差はR-L=+1dB、何となくバランス悪い感じでした。調整後は+0.4dBでほとんど気にならなくなりました。KORG社サイトの質問メールで6P1の品質管理上、1dBものゲイン差が発生しうるものか質問してみましたが2週間近くなしのつぶてです。大会社なので量産売り込みに忙しくてアマチュアには冷たいのかもしれませんね。 [10/1更新 本日コルグ社から返事いただきました。ありがとうこざいました。ゲイン差1dBは製品仕様の範囲内だそうです。入出力レベルの調整、またはバイアス調整でのゲイン合わせを推奨されました。「その2」で書いたように私はプレート抵抗での調整を選択しました。理由は以下の通りです:
・入出力での調整--信号経路のどこかに9/10のアッテネータを加える。信号経路に素子を入れたくなかった。
・バイアス調整--オシロで出力波形を見ると、バイアスをひずみ率最小からずらしてゆくとみるみる波形がひずんでくるが、出力はあまり変わらなかった。
第一作に使った6P1の個体は左右ゲインがドンピシャだったので、今回は高価なハズレを引いた感じでちょっと残念です。]
さて、完成機の特性です
①周波数特性
周波数特性.jpg
-1dBで10Hzくらいまで低域は伸びています。高域は50KHzくらいまでほぼ一定ゲインで最終的にハイ上がりになります。L-chのほうがよりハイ上がりしているのはプレート抵抗が高いからでしょうか。グラフは1kHz, 5mWを0dBにプロットしています。このポイントで約7dBのゲインがあります。OPアンプはいずれもユニティゲイン電流バッファとして使い、6P1でゲインを稼いでいます。
②出力-ひずみ率特性
ひずみ率特性.jpg
6P1はバイアス調整で大分特性が変わります。本機は400Hz,5mWで最小ひずみになるよう調整しました。5mWでも私のHPでは大音量です。結果として約+0.3Vのバイアスがかかっています。フィラメント端子が-2.2と-2.6V(実測)で点灯しているので、全体で約3Vのポジティブバイアスになると思います。ひずみ率2%時の出力は12mW、低電圧で作動させているOPA1622の出力が頭打ちになりひずみ率が急激に悪化します。
③ノイズ、出力DC(51Ω負荷)
無入力時のノイズ=40mV(rms)、大きめですが聴感上は気になりません。
DC電圧 Lch=-0.1mV, Rch=+0.8mV。十分低いのでHPとは直につないでいます。
ユニティゲインの割にOPA1622のOUT~in(-)間に180kが入っているのは、出力に2mVくらいのDCが出ていたためキャンセル目的でOPA1622の入力抵抗と同じ値の抵抗を挿入しました。上記は180kを挿入した後の結果です。
大分長くなったので、聴感と実装状態は次回アップします。ではまた。

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府中市天神町の謎 [パパの趣味]

府中市に天神町という一画があります。有名なものといえば「天神町幼稚園」と「天神町遺跡」がある程度で、どちらも「天神」が先にあって、それを参照したネーミングです。ところでこのブロックに天神様はありません。なのになぜ「天神」なのか??
昔から不思議に思っていたのですが、最近ヒントになる資料に行き当たり、一気にリサーチしました。
1.文献資料 「府中市内旧名調査報告書」(1985.11)
天神町地区は「天神道」という道路が通っていたとのこと。由来碑が立っているそうです。さっそく行ってみました。
2.由来碑
桶久保公園の角に石の由来碑が立っていました。
由来碑s.jpg
天神山にある天神社への参道なので天神道だ、と書いてあります。
3.天神道
地図で見ると、北は横街道(学園通り) 南は小金井街道に合流して終わっています。
天神町地図.jpg
地図の赤丸が由来碑のあった地点、オレンジは北のはずれ側の、農工大農園の裏側あたりです。
こんな感じで大分さびれてきます:
天神道_農場裏s.jpg
道が下っているのが分かるでしょうか。これが天神町遺跡のもとになっている埋没谷の名残です。他の部分はかさ上げで平らになってしまい、谷間を感じさせるのはこの地点くらいだと思います。
4.天神様はどこに?
てっきり天神町地区内にあるのだろうと思っていたのですが、地図上でどこにもありません。それらしい跡地があるのでは?と思い地域内を自転車でグルグル回ってみましたがそれらしいものはありません(神社さんを完全になくすというのはなかなか畏れ多いもので、小さい祠くらいは残っているものです)。お稲荷さんはいくつかありました。
途方に暮れてしまったのですが、由来碑には「天神山の天神社」とはっきり書いているではありませんか! そのまま検索してみるとありました。。ただし天神町ではなく競馬場のほうです。京所公会堂の敷地内に祭られているとのこと。さっそく行ってみました:
京所公会堂s.jpg
天神道から小金井街道に合流し、さらにもう一度、一本西の道に移動する必要があります。この天神道は前出の資料では古くからある道らしいのですが、なぜストレートに天神様につながっていない道を「天神道」と呼んだのか? そもそも天神様への最短ルートを持つ必要があったのか? 古地図を調べて昔の人の生活を想像する必要がありそうです。とりあえず今回の結論「天神町に天神様は無かった」。ではまた。


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Nutube 6P1 ヘッドフォンアンプ その4-改善後の特性 [パパの趣味]

さて、「その3」で書いた改造を実施しました。改造後の回路図はこちら:
完成機の回路図s.jpg
(1)改造後のゲイン特性:
改善後の周波数特性.jpg
山谷があるように見えますが、-1.1dB@10Hzです。10kHz付近でゲインが0dBを超えていますが、なにせAC電圧計がアナログなので、1/10目盛りの読み間違いがゲインに出てします。
(2)次にひずみ率特性:
改善後のひずみ率特性.jpg
最小ひずみになるように左右チャンネルのバイアスを調整します。ひずみ計で見ていると明確に谷間があります。この単体ではLch=3.3V, Rch=3.6Vで最小ひずみ(@400Hz,0.5Ve出力)になりました。
1kHzのひずみ率でいうと、1%になる出力は10mWです。ヘッドフォンの場合、ひとケタミリワットで耳が痛くなるといわれていますので、十分なのだと思います。
(3)出力OPアンプの選択
音色のほかに、スイッチON-OFF時のクリック音の大小、さらに消費電流も評価しました。
①Muses8920はクリック音大、音色は低音が豊かだがやや曇った感じがする。
②OPA2134はクリック音が小さく、音色も左右の広がりを感じます。好印象。
③LME49860はクリック音大、音色はよいのですがハムを拾い易くなった気がします。
④OPA1622はクリック音大ながら音にパンチがあり、一番気に入りました。OPA1622の問題点はやたらに熱くなることと、消費電流が多くなることです。
音楽聴取中のBAT消費電流は①~③がいずれも120mA, ④だけは約3割増しの160mAになってしまいます。音の良さには抗えず、外に持ち出す用事がないときはOPA1622を使うことにしました。
最終的な内部の写真です:
特性改善後.JPG
電池の+端子近くにあるギザギザに見える部品がOPA1622にかぶせた放熱板で、熱伝導性両面シールでOPアンプに密着させて固定したうえに脱落しないよう、木綿糸でOPアンブに縛ってあります。これでも60℃くらいになっていると思います(辛うじて触れる熱さ)。

(4)このあとの計画
①OPA1622に+/-15Vをかけているので発熱と消費電流が大きいのではないかと推定しています。OPA1622を電池の+/-2.4Vを電源に作動させたらどうなるか、試してみたいと考えています。出力は高々0.6Ve(+/-0.85V)ですし。
②真空管はどうしてもマイクロフォニックが出てしまいます。次回、スクラッチから作るときはSiCを使った半導体タイプにしようと考えています。最近のMJ誌にHPアンプ付きの金田式が載っていました。

課題解決のためにいろいろと部品を買い込んでいるで①が早くに出来ると思います。進捗あったら、またアップします。

Nutube 6P1 ヘッドフォンアンプ その3-原因調査 [パパの趣味]


前回、初号機の特性に問題(低域のゲイン不足)を報告してから、大分経ってしまいました。この間、さぼっていたわけではなく毎週末、せっせと原因調査をしていました:

(1)部分ごとの特性確認
入力~出力まで部分ごとに特性を確認していきました。図を参照ください。
旧回路図_確認ポイント.jpg
(完成機上で計測)
①入力のRCフィルタ=〇低域低下なし 
②駆動OPアンプ出力=〇低下なし 
③出力OPへの信号=[×]低域低下あり
④出力信号=[×]低下あり
⑤出力のOPアンプを交換=[×]低下あり (使用OPアンプはMUSES8920D, OPA2134PA、OPA1622)
(ブレッドボードで再現して計測)
⑥ボルテージフォロワ部=〇低下なし
⑦RCフィルタ~出力OPアンプ=〇低下なし
⑧RCフィルタ部=〇低下なし
⑨ブレッドボード上にアンプ回路を全部再現=〇低下なし
計測①~⑧で低域の低下は6P1の出力部で発生していることが分かりましたが、計測⑥⑦⑧でRCフィルタ以降には原因がないようです。ところでKorg社のデータシートでは6P1に低域側でゲイン低下するような特性にはなっていません。どうにも原因が分からず、ブレッドボード上にアンプの回路を全て再現(計測⑨)してみましたが、再現しません!!
余談ですが、ブレッドボードで再現するにあたり片方のフィラメントを切ってジャンクにしてしまった6P1を使用しました。定格0.6Vに電池の4.8Vをかけてしまったためです。一瞬フィラメントが赤熱し、即昇天です。泣く泣く買いなおした6P1には直接17mAのCRDをハンダ付けしてしまい、間違っても定格を超えないようにしてしまいました。

(2)分析
ブレッドボード上では、問題の低域低下が再現しなかったわけですが、ここでガッカリしてしまうか解決への端緒を掴んだ、と喜ぶかはその人のパーソナリティ次第です。技術者はポジティブシンキングで行きましょう。
要するに、完成機と再現機(ブレッドボード)との差異を調べれば良いわけです。両者をよーく見比べます。はいはい、ありました。DCDCの雑音除去のつもりで完成機には33mHのチョークインプットでフィルタを組んだのですが、それ以上手持ちがなかったのでブレッドボードは47μFケミコンのみを入れていました。試しに、ブレッドボードに33mHではないのですが手持ちのチョークを挿入してみると見事に低域の低下が再現しました。このとき何が起きているかというとDCDCが供給するB+の脈動が、入力信号の周波数が低くなるとともに大きくなっています:
100Hz時→100mVP-P、20Hz時→200mVP-P, 10Hz時→250mVP-P
15V電源に対する250mVP-Pの脈動なんて問題ないように思えますが、もともと有効電圧0.6V(1.7VP-P)くらいの出力信号を扱っているので、少なからず影響が出るはずです。
ところでなぜこのような脈動が出てしまうのかは不明です。仮に33mHと46μFの直列LC回路とみなすと共振周波数は0.13Hzくらいになるので10HZとは十分離れているはずです。DCDC内部のフィルタとの相互作用で悪さしているのかもしれません。試しにブレッドボード上でコンデンサーインプットに組み替えると電源電圧が+10~+17V @60Hzで発振してしまいました。

(3)改造方針
ブレッドボード上で低域の低下がないことを確認出来ている、Lなし・47μFで平滑する電源回路に改造します。ちょっと色気を出して高周波特性がよくなるというセラミックもパラにしてみます。また、対策検討のつもりで種々のOPアンプと買い込んでしまったので聴感で選択してみます。

もともと3回の記事にするつもりだのですが、対策で手間取ってしまったので改造結果は次のブログに書きます。ではまた。

Nutube 6P1 ヘッドフォンアンプ その2-特性計測 [パパの趣味]


さて、組みあがったので特性を計測してみました。
まずはバイアス電圧の調整です。入力電圧を変えながら、ひずみ率が最小になるバイアス電位を計測しました:
6P1_HPアンプのバイアス調整s.jpg
6P1は2チャンネル分入っていますが、ひずみ率最小となるバイアス値が左右で相当異なっています。左右の出力はよく合っていました。
丸で囲んだ点(出力約9mW@51Ω負荷)を動作点に選びましたが、片チャンネルのバイアスは3.4V, もう一方は3.1Vでした。これでは左右それぞれにバイアス調整のポテンショが必要ですね。実は初めは左右のバイアス調整は一つで間に合わそうとしていたのですが、このデータを受けて、急きょ追加しました。前回の写真にはポテンショ(青い部品)が一つしか写っていません。
ところでグリッドがいずれも正電位ですのでグリッド電流が流れています。Korgが提供している特性データだと40μAくらい流れるはずです。プレート電流は100μAくらいになるはずなので何をやってるんだら分からない素子です(トランジスタ?)。大先輩の作例では、プレート電圧を思いっきり上げて(9Vx9=81V)負のバイアスで使っています。タマはこうやって使うものぢゃ、と気迫を感じます。
さて、次は調整後の左右のひずみ率特性です:
6P1_HPアンプのひずみ率s.jpg
ひずみ率が急増する手前というと、10mWくらいです。これでもヘッドフォン用としては耳を傷めるくらいの音量になるはずです。最後に周波数特性:
6P1_HPアンプの周波数特性s.jpg
ガーン、低音側が全然出ていません。出力OPアンプの負荷能力不足なのかと思い入力を下げて(出力4mW相当)見ましたが変わりません。前回作った3A5s+ST-48トランスのHPアンプでも-0.6dB@30Hzでしたから、相当劣っています。周波数特性の低下が-6dB/OCTに近いので異常ではなくて特性値の読み間違え(私がバカなだけ)と疑っています。6P1の後にいるOPアンプの入力インピーダンスが無視できないくらい低いのでは? と考えていますが、まずは調査してみます。経験がある方がいらっしゃったらアドバイスいただけるとありがたいです。次回は原因調査と、対策結果を報告したいと考えています(対策出来たら)。ではまた。

Nutube 6P1 ヘッドフォンアンプ [パパの趣味]


以下の順で書いていきます。
1.Nutubeについて 2.作例 3.ブレッドボードで実験 4.完成品の特性

1. Nutubeについて http://korgnutube.com/jp/
Nutubeという新型真空管をKorg社が発売開始したのは昨年9月頃だったと思います。
前回のヘッドフォン(HP)アンプには3A5という真空管を使いましたが、作動させるのに1.4V 220mAのヒーター電力が必要です。3A5は「電池管」というジャンルに属し、これでも電池駆動にやさしい仕様として設計されています。単3のエネループが1900mAh,電池を傷めないように8割方のところまで使うとしたら作動は2時間くらいです。
このNutubeはヒーターが0.6V 17mAx2と大変省電力に出来ており、先ほどの例で11時間も持つことになります。これで電池駆動に対するハードルがぐっと下がるわけで、電池駆動の金田式アンプや新氏のEQアンプなどが発表されています(私も聞きに行きました。よくできていました)。
私も早速、HPアンプを作ってみましたので紹介します。

2.作例
前回の3A5 HPアンプは微妙に据え置き型で、電池も単3x1(ヒーター), プレートはスペース上単4x4より供給という構成で、単4が先に無くなるみたいです。今回作るにあたっては、以下を目標にしました:
①今度こそポータブルにする iPodくらいの大きさが目標。
②単3電池x n本のセットですべての電力を供給。
③せっかくなのてNutubeの緑の蛍光が見えるようにレイアウトする。
完成品の外観です。蓋を外して中が見えるようにし、比較用にiPodを並べました(①):
IPODと比較s.jpg
白く見えている部分は電池ボックスのスペースで、ひっくり返すと単3x4が見えます(②)。
のぞき窓s.jpg
緑色に2か所光っているのが分かると思いますが、これがNutubeの蛍光部ののぞき窓です(③)。
Nutube というのは四角いガラス2枚のサンドイッチみたいな部品で、従来円筒形の真空管とはだいぶ違いますね。また、足のピッチが2mmで従来の1/10インチ(2.54mm)ピッチの基板に合いません。私はAitendoで売っていた2mm-2.54mm変換基板を使いました。
基板(改造前)s.jpg
次に回路図です:
回路図s.jpg
Nutubeの前後をユニティゲインのOPアンプでサンドイッチした構成で、真空管からの信号の取り出しはよくあるYAHAアンプではなく、カップルコン方式です。OPアンプの電源(+/-15V)とNutubeのプレート電圧(+15V)はDCDCより供給しています。写真だと銅色のシールドケースの下に収まっています。またヒーターは単3x4 (NiMHなので定格4.8V)より18mAの定電流ダイオードで供給しています。
間違って4.8Vを供給するとあっという間にフィラメントが切れてしまいます。税込み5,400円がパーになります。要注意!
この回路に決めるまでにはいろいろリサーチがありました:
(1)入力側のOPアンプ
当初は設定しないつもりだったのですが2月に中野であった「ポタ研」でNutubeのグリッドに直接VRを接続するとノイズが出やすいと聞き、設定することにしました。普通の真空管アンプでもVRがグリッドリーク抵抗になり電極間の静電容量とフィルターを形成してしまうことはよく言われるのでさもありなん、と思いました。
(2)YAHAアンプにしなかった理由
こちらは3月のMJオーディオフェアで教わりました。YAHAアンプだとヘッドフォンと出力OPアンプの間に直流遮断用の大容量電解コンを置くのですか、低インピーダンスのイヤフォンを組み合わせると低域が低下するとのこと。こちらもRCのハイパスフィルタの原理として納得できます。また、カップルコンの位置だと低容量で済むのでいろいろなタイプのコンデンサーを試せます。一方数百μFといったら電解に限定されてしまいますね。

と、いうわけで2.まで書き進めました。このあと、ブレッドボードで試作して諸元を決めた(3.)のだけども、実装したら特性がだいぶ違った話と最終的な特性を4.で書きます。今日はここまでです。ではまた。

ナショナルEMD-101ギアダイアルの続き [パパの趣味]


1月29日に都立図書館の多摩分館がオープンしました。私にとってこの図書館の性格と立地がとても重要でした。
①立地→私の大好きな東山道武蔵路の遺跡沿いにある。古代人が長旅の末に武蔵国分寺を見下ろしてホットしたといわれる、丘の上です。
②性格→雑誌専門、かつ創刊号からきちんとそろえた膨大な蔵書を誇る。私が良く行く府中の図書館でも雑誌は過去二年分だけ保管していて、それ以上古いものは不要本として「あげます」コーナーに並べられてしまいます。

今回のブログは②によって可能となりました。
EMD-101が発売された1964年頃にこのギアダイアルがどのように使われたかを知るには当時のCQ誌を見るのが手っ取り早いのですが、兎に角この年代の古本が出てきません。もっと古いと明倫館に並んでいたりします。この時代のCQ誌を保有している方がまだ現役、ということでしょうか。
都立図書館の蔵書検索を調べると多摩分館にあることが判明。早速行って来ました。今日は時間があまり取れず、調べられたのはCQ誌1964年1月~6月の製本版です。以下の順で登場します:
1. 3月号に1ページの予告記事「スペースをとっておいてください・・近日発売!」
2. 4月号 には5ページにわたる詳細な広告
3. 5月号 広告は見開き含む3ページに縮小、JA1AYO丹羽OMによるVFOへの応用記事あり
4. 6月号 広告なし、中一高二の通信型受信機に使用した記事あり。

VFOの記事が、このダイアルの使いにくさを示してくれています:
EMD101の使用したVFOMay1964.jpg
機構自身の奥行きがあるため、LCボックスがシャシのぎりぎり奥に置かれています。これでもギア軸・VC軸をカットしているそうです。これは、レイアウトが難しそうですね。また、丹羽OMは1MCをカバーするVFOにこのギアダイアルを組み合わせると、50Hzが直読み可能になる、と書いていますが実際のVCの直線性は以前のブログに書いたように散々なものでしたから、コリンズの51S-1のように1MHzに渡り1KHzが直読可能、とは行かなかったはずです。
アイディアルのギアダイヤルに比べオークションでほとんど見かけないのは、売れなかったためだと思うようになりました。アイディアは独創的だったのですが高精度なものは一点豪華では達成できず、システム全体へのアプローチが必要、と再認識させられました。
ところで私はこのダイアルをサンコーのユニットに組み合わせるべく、将来のプロジェクトにしようと考えています。また、CQ誌も1964年6月以降をまだ見ていませんし、さらに範囲を広げてうまい使用例がないか探してみるつもりです。ではまた。

ナショナルダイヤルメカニズム EMD-101 [パパの趣味]


もう2017年になってしまいました。 昨年アップしたブログは3本だけ・・ぼちぼちやっていきます。

さて、今年最初のブログは十数年来探していたものを手に入れた話です。 タイトルの「ダイヤルメカニズム」というのはアナログの無線機で、選局を楽にするために同調機構(バリコン)をゆっくりと動かすための減速装置です。同調メーターとともに受信機の顔といえる部品で、見栄えにも注意が払われています。かく言う私も小学生時代から今に至るまで、珍しい機構のダイアルがあるとせっせと集めてきました。


今回のものは松下電器(パナソニック)がアマチュア用部品を製造していた時代にごく短い期間売っていた、「幻の」と言っても過言ではない品物だと思います。私がこのダイアルを初めて認識したのはS42(1967)年初版の「SSBハンドブック」VFOの章の「最近はウォームギアを使用した機構も使われています」という記述に遡ります。私のハンドブックはS49(1974)年の版で、その当時は市場にはアイディアルMD-101しか流通していませんでしたので"ウォームギアタイプ"とはどれを指すか皆目分かりませんでした(当然、米NationalのNPダイアルなど知る由も無く)。 

どんな製品か不明のまま、20年近くが経過し、ナショナルがウォームギアタイプのダイアルメカを売っていたと知るのは確か神保町・明倫館で立ち読みした古本からだったと思います。メーカーが分かり、型番が分かったころにインターネット時代になり、検索で1967年のCQ誌に広告が載っていた事まで掴みます。該当するCQ誌を手に入れたのはヤフオクでした。それが、この広告です:

EMD-101004.jpg

EMD-101のデビューを飾った広告だったようで、5Pに渡り解説されています。機構はこんな感じです;

MechS_CQ1964APR026.jpg

これはすごいですね。ウォームギアが2セット、ベベルギアにネジ歯車と歯車技術のショウケースのような製品です。

ちなみに正価4,900円なり。同じ号のCQ誌の広告によるとクラニシの20:1(3,600円)がライバルでしょうか。とにかく珍しい機構に目がない私としてはぜひ現物を手に入れたい、とここ7-8年ウォッチを続けてきました。オークション情報サイトの記録ではEMD-101の最新の売買記録は2010年。

実は2-3年前に送信機に組み込まれジャンク一式で出品されたのですが同好の方がいるらしく、掛け負けしてしまいました。黒いエスカッションプレートが無くなっていましたので、全力BIDでなかったのも事実でした。

そしてついに今回は完品かつダイヤル部単体の出品を発見。今回は無事、勝つことが出来ました。届いたものがこれです:

正面s.jpg

そうそう! これを探していたのです! ダイヤルを回すとドラムが回転し、ドラム目盛りの1/10をダイヤル上の副尺で読める、という優れものです。広告では、複雑なギアトレンがバックラッシュをキャンセルすると書いてありますが、若干の遊びを感じます。調整するとゼロに近づけられるのかもしれません。 内部写真です;
ねじ歯車s.jpg
キテますねえ。このような機構を思いつき、歯車諸元に落としこんだ当時の技術者に脱帽です。

本品の出品者は81歳になられるOT様でした。品物に同梱して、同時のシャックの白黒写真を添付いただきました。リグはすべて手作り、オシロを備えた本格的なシャックでした。譲っていただいたOT殿に感謝です。大切に使って行きたいと思います。

中学時代の希望が、21世紀についに解決したというお話でした。生きていればいいことがあるさ、というのは本当ですね。ではまた。

2016 今年のコールデンウイーク [パパの趣味]

ブログをいくつも書いていないのに、今年のゴールデンウィークも終わってしまいました。
まずは府中名物くらやみ祭から。 私はお化け屋敷の屋台なんて、ここでしか見たことがありません。
名物お化け屋敷S.jpg
撮影は5月2日の17時頃。まだ準備中でした。待ちきれずに見に行ってしまいましたが、世の中の連休の5月3日から営業開始のようですね。3日の午前にも行きましたが、前日とは打って変わって大混雑でした。

続いて、もう一つの府中名物ムサシノキスケ゜。府中の浅間山(せんげんやま)に自生する固有種だそうです。
きすげアップS0504.jpg
撮影は5月4日の12時ころです。こちらはアップですが、周囲はちらほら咲きくらい。例年はもっと咲いているのになーと思ったら、今年のきすげ祭りは5月7・8とのこと。連休中だと少し早かったようです。

と言うわけでお祭りもキスゲもフライング気味でした。おかげて空いていたので、まあいいか、です。
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